埼玉連続保険金殺人はでっち上げ
「いったん自殺や不審死、事故死、病死、失踪者と判断されたものが、後になって実はそれは殺人事件だった」という内容の事件を “偽装殺人” という言い方をします。またそれらは事件発覚時に遺体が存在しないため “遺体なき殺人” とも呼ばれます。
その種の事件の発覚が最近やたらと頻発していることにお気づきでしょうか。
皆さんがご存知なのは、このうちの09年にほぼ同時に発覚して、同じような事件内容だった埼玉の木嶋佳苗と鳥取の上田美由紀という女による金銭がらみの殺人事件だと思います。しかしこの2つの事件の前後に、常識では考えられないような数の偽装殺人事件が発覚しているのです。
下の時系列表で示したように09年の10月から11年の7月の間に12件発覚しているのです。
もっと正確に言うと埼玉の木嶋佳苗は一人で3人を殺害、そして鳥取の上田美由紀は一人で2人殺害したことになっているので全て合わせると15件も発覚しているのです。
事件名では12件、被害者数では15件にものぼるのです。
そして裁判員制度が始まったのが09年5月で、そのわずか5ヵ月後からこれらの大量の偽装殺人が発覚するようなったのです。
逮捕年月 | 事件名 | 偽装方法 | 主犯や共犯者 | |
---|---|---|---|---|
09年 | 10月 | 仙台飲食店経営者殺人 | 失行1 | 笹本智之() 菅田伸也(32 ) 共犯者 数名 |
10月 | 埼玉婚活女保険金殺人 | 自偽3 | 木嶋佳苗(34) | |
11月 | 鳥取連続不審死殺人 | 不偽2 | 上田美由紀(35) 共犯者 1名 | |
10年 | 3月 | 仙台自衛官保険金殺人 | 自偽1 | 高橋まゆみ(49 被害者の妻) 菅田伸也(32) 共犯者 3名 |
5月 | 大阪高槻保険金殺人 | 不偽1 | 宇野ひとみ(36 被害者の娘) 宇野 昭二(57 ひとみの夫) 共犯者 複数 | |
8月 | 奥多摩保険金殺人 | 故偽1 | 阿久津好男(68 被害者の養父) 共犯者 タツ子(58 良男の妻) 他1名 | |
11月 | 神奈川浴槽保険金殺人 | 故偽1 | 新井竜太(41) 高橋隆宏(37) | |
12月 | 香川不倫殺人 | 自偽1 | 城可奈子(27 被害者の妻) 共犯者 高橋淳希(27可奈子の不倫相手) | |
11年 | 3月 | さいたま遺体なき殺人 | 失行1 | 小久保克己(47) 釼持雅司容 疑者(31)など10人 |
5月 | 松戸保険金殺人 | 自偽1 | 西村豊(56) 共犯者 工藤隆(49) | |
6月 | 佐世保病院理事長殺人 | 病偽1 | 友広慎吾(49) 共犯者 枇杷木紀明 (35) | |
7月 | 青木ヶ原樹海殺人 | 自偽1 | 萩原篤容疑者(33) 東英雄容疑者(21 ) 中山佑介容疑者(30) |
失行=当初単なる失踪や行方不明と判断された殺人
自偽=自殺偽装殺人
不偽=不審死偽装殺人
故偽=事故死偽装殺人
病偽=病死偽装殺人
不偽=不審死偽装殺人
故偽=事故死偽装殺人
病偽=病死偽装殺人
その横の数字は被害者数 犯人の年齢は逮捕当時の年齢 ピンク色は保険金殺人
※このうち10年5月の大阪高槻保険金殺人の事件に関しては、大きく騒がれたのは宇野ひとみの養女の宇野津由子殺害事件ですが、その事件自体は偽装殺人ではありません。この事件の犯人たちは他にもいくつもの金銭がらみの事件を起こしていてその中で犯人宇野ひとみの母の保険金がらみの不審死の話がありそれが偽装殺人なのです。
しかしその後なぜかその話が消えてしまったのですが、しかしその話を否定する情報も出ていないので偽装殺人として入れておきました。
※神奈川浴槽保険金殺人では犯人は叔父と叔母の2人を殺害したことになっていますが、そのうちの叔母だけが偽装殺人で叔父は偽装殺人ではありません。
【こんなことが過去にあったでしょうか】
自殺や不審死などを装った保険金殺人や不審な死に方をしたのが後になって実は殺人だったことが発覚するという事件は昔からありました。
そしてこの保険金殺人や偽装殺人が過去に具体的にどの程度の頻度で発覚していたのかはわかりません。
しかしこのような保険金殺人や偽装殺人というサスペンスドラマのような事件はめったに発覚するものではなく、事件が発覚するとその珍しさや話題性でマスコミがこぞって大騒ぎし、世間でも話題になる、という状況だったはずです。
そんな事件が年に5回も6回も発覚し、2年足らずという間に12件(正確には15件)も発覚しているのです。
そしてさらに細かく見ると事件が2ヶ月連続、3ヶ月連続で発覚していたり、11年5月の松戸保険金殺人と6月の佐世保病院理事長殺人などはわずか2週間の間に立て続けに発覚したりもしているのです。
また保険金殺人に関しては全部で6件発覚していますが、そのうちの5件は09年10月から10年11月の1年ちょっとという短い期間に発覚しているのです。
こんなことがあったでしょうか。
絶対に無いですよ。
警察は埼玉と鳥取の事件が発覚した後に自殺や不審死などに対する検死の強化をするということを発言していました。
しかし埼玉と鳥取の事件以降の事件は検死で事件が発覚したわけではありません。
はじめにも書いたようにそもそもこれらの事件は、被害者とされた人たちは全て数ヶ月から数年前に死亡しているので事件発覚時には遺体自体が存在していないのです。だから検死はできないわけです。
事件が発覚した要因は別の事件で逮捕されていた犯人が拘留中に偽装殺人を自供したり、共犯者や犯人の知り合いが警察に事件を告白したたというものです。
なので検死の強化は関係ないのです。
事件が発覚した要因はともかく、この種の事件が短期間の間に次から次へと発覚する。
このようなことは過去に無かったはずです。
明らかにこれは不自然なことが起きています。
もしこのことが事実だとすると「今までとんでもない数の殺人事件が見過ごされてきている」ということになります。
そして、今現在日本ではそこら中に殺人犯がうろついていることになります。
ということは今現在日本国民はすごい数の殺人犯ととなり合わせで生活しているということになり大変危険な状況になっているはずです。
しかし警察がそのことで騒いでいる様子は全くありません。
またこれだけの事件を見過ごしてきたというのに警察が批判されている様子もほとんどありません。
このこと自体もあり得ないことです。
そのあり得ないことが裁判員制度施行から5ヵ月後に始まったのです。